satoyamahanako’s blog

里山で炭を焼いて暮らしています。

池掘りからマンションへ

50年とか60年前はまだ土葬だった。土葬のための穴を掘ることを池掘りと言ったらしい。近所の人たちで池を掘るのだが、大きく掘るのは大変だから、その当時の棺桶は今みたいな長方形ではなく、文字通り桶の形をしていて、遺体を丸くして納めた。

余談だけど、夫が幼いころ、田舎のおばあちゃんのお葬式に参列したとき、おばあちゃんのお友達が「火葬にされてかわいそうに」と言い合って泣いていたそうだ。「燃やされたうえに、あんなコンクリ張りの狭いところに閉じ込められて・・・」
気持ちはわかるような気がする。わたしもうちの村の山に土葬してもらって、山の土に還りたい。昔のお墓みたいに石だけドンと置いてあるのがいい。猫と犬も近くに埋葬してもらう。でもそうすると栄養過多で周囲の植物がメタボになってしまうかしら。しいたけのほだ木を捨てたあたりの木々はメタボになっていて、そうじゃない木に比べてやわらかい。

さて最近、先祖代々のお墓をお寺の納骨堂に移す家が増え始めた。
納骨堂建立の説明会で、お寺の住職さんがこんなふうに話していた。

昔は土葬でしたから、一人に一つのお墓でした。ご自宅の敷地や山に一族のお墓が並んでありました。
その次に一家族で一つのお墓に入るようになりました。共同墓地を作って、これまでいくつもあった一族のお墓を寄せ墓して、〇〇家の墓、とひとつにまとめました。
この一家族で一つのお墓に入るということが当時、村の皆さんにはなかなか分かっていただけなかったので、たとえ話としてこんなふうにご説明しておりました。
皆さん、一つのお家に、おじいちゃん、おばあちゃん、お父さん、お母さん、お子さんと、皆さんで住んでおられますね。新しいお墓もそんなふうに家族全員で入る一軒家のようなものですよ、と。
そして最近ではお子さんが村を離れてしまって墓守する人間がもう村にはいないというご家庭も増えてまいりました。そのためにお寺に納骨堂を作り、わたくしどもでお墓をお守りする仕組みを作ろうと、こういうことになりました。
納骨堂ってなんだろうとおっしゃる方が多いのですが、いわばお墓のマンションです。いろんなご家族のお家がひとつの建物に集まっている、これがマンションですが、いろんなご家族のお墓がひとつの建物に集まっている、これが納骨堂です。

なるほどーマンションか、生きている人間にはマンションがないのに、死んだ人間にはマンションがあるのか、などと言い合いながら寺を出て家に帰りました。
お墓もマンションか・・・マンションの次はどう変わるんでしょうね。