satoyamahanako’s blog

里山で炭を焼いて暮らしています。

炭切マニア

わたしの主な仕事は炭切~出荷作業である。
炭切というのは窯出しした炭を規格に合わせて切っていく作業のことだ。
わたしはナタで切る。
丸ノコで切ると作業が早いし、切っている最中に折れたり割れたりが少ないので、上物が増えて実入りが良い。(でもお客さんの手元で折れたり割れたりする炭が増えるかもしれない)
ナタを使うのは、お客さんの手元により良い炭を届けられるはずだという実感が欲しいのだと思う。ナタで切ったほうが断面が美しいしね。鏡面みたいにツルッとしてピカッと光る。
切ると同時に炭の良し悪しを見分けて選別もする。

毎回同じように良い炭を窯から出せるのが理想だが、原木が違ったり(太さ、生えている場所、まっすぐかねじれているかなど)、気候や天候の影響を受けたり、条件は毎回異なるから、理想通りにはいかない。
でもそれをお客さんに感じさせないように切り選別するのがわたしの重要な役目だ。
かりに窯から出た炭があんまり良くなくても、炭切と選別がきちんとしてあれば、それをお客さんに感じさせずにすむのだ。
お客さんにとっては、毎回同じように使える炭が良い炭だと思うので、毎回同じような感じになるように選別には注意を払う。

多くの農産物がそうであるように、炭もこだわって作ろうが作るまいが、卸値は変わらない。こだわるだけ損なのだ。
わたしは炭切マニアなんだ。炭焼きの仕事は炭を焼くことではなく、お客さんに満足してもらえる炭を届けることだと思っているから。
マニアトークを交わせる人がいないのが寂しい。
炭を焼くほうのマニアはまだいるんだけどね。

炭切マニアはいない。