satoyamahanako’s blog

里山で炭を焼いて暮らしています。

2022-10-01から1ヶ月間の記事一覧

ノマドランド時代の話

東京時代、クリスチャンの友人が数名できたこともあって、聖書を読んでみることにしました。なんたって、世界的大ベストセラーです。ぶっちぎりの1位なんだもん、興味はありました。旧約聖書の1ページ目から真面目に読み始め・・・えー?旧約聖書から読み…

雪虫のころ

「雪虫のころ」というのは、大昔に観た映画のタイトルだ。いくつかのシーン以外、内容は忘れてしまったけれど、タイトルだけは忘れない。ゆきむしのころ、という響きが好きなのだ。ふんわりとした、やわらかい雪がひらりひらりと舞い降りて来て、手の上で溶…

ゴッズ・オウン・カントリー

牧場を管理する青年と季節労働者として雇われた男性が惹かれ合う。(YAHOO映画) ま、そりゃそうかもしれないけどさ、と口を尖がらせたくなる説明だなあ。ストーリーだけかいつまんで言うとそういうことになります。 わたしがこの映画を好きなのは、ストーリ…

自分の感受性くらい

最近、漢方薬を飲み始めました。毎年の健康診断では問題なしという結果なのだけれど、疲れやすいとか眠りが浅いとか気になることはあるから問診を受けてみたのです。「夜何度も目が覚める感じですか?」「そうですね、お手洗いに起きたり、ふと目が覚めたり…

職人と商売

6次産業化という言葉が広まり始めたころ、当時の民主党の政治家の方が、「6次産業化によって農家の増収を図る」と熱弁をふるっておられたのを覚えています。 農産物のままなら単価は安いけれど、加工品にして消費者に直売すれば高く売ることができるので増…

諦めてもらうための10年

ブログを書くようになって、来し方に思いを巡らせることが多くなった。そしてこの15年は、村の人や炭焼きの人たちに認めてもらうための15年だったなと思いいたった。村の人に対しては、(あんまり付き合いはよくないかもしれないけれど)元気に挨拶する…

ラジオの不思議

おとといのブログに書いたことですが、国会中継で天畠議員の質問を聞きながら、わたしは今、天鼻議員のなにに触れているんだろうかと考えたものです。魂っていえばいいのかなあ?ソウル?スピリット?ご自身で発話できないわけですから、ラジオでは天畠議員…

ノマドランド その2 あるいはスローターハウス5

車上生活を始めると同時に、WOOFで農家さん巡りを開始しました。本当はもっと体調が回復するまでおとなしくしているつもりでしたが、そうも言ってられません。次なるステージへ向けて準備を始めることにしたのです。 まず3万円で中古のRV車を知り合いか…

天畠大輔議員の質問を聞いて

昨日の続きを書こうという心づもりだったのですが、今日の国会中継を聞いていて、あまりにも感動してしまったので、そちらのことを書きます。 炭窯で仕事をしているとき、耳寂しいのでラジオをずっとつけています。NHK第一です。NHK第一以外はあんまりきれい…

ノマドランド その1

「ノマドランド」いろんな映画賞を取りましたね。「金融危機により全てを失いノマドになった女性が、生きる希望を求めて放浪の旅を続ける」とYAHOO映画では説明してあります。わたしは、この主人公の女の人は車上生活をして旅を続けるという形でしか旦那さん…

炭切マニア その2

炭焼きの仕事のゴールは、炭を使ってくださる方が喜んでくださること、満足のいく時間を過ごしてくださること、だと思っています。火鉢でお使いの方なら、火鉢で使いやすい炭をご提供して、ほんのりとした暖かさとゆったりとした時間を味わっていただくこと…

炭焼きの山仕事

炭焼きは原木の多く生えている雑木山を選んで伐採権を購入し伐採します。 雑木山ですから、原木だけが生えているわけではありません。椎も桜もナラも栗もクヌギもイチイも、とにかくいろんな雑木が生えています。 それらも全部チェンソーで伐ります。 そして…

がんばりました。

今日、生まれて初めて一人で高速道路を運転しました。わたしは村に移住するために運転免許証を取得して、基本的に村の中でしか運転をしません。高速道路とかね、もうありえない、と思ってたんですけど、今日はどうしても一人で出かけなくてはいけなかったの…

池掘りからマンションへ

50年とか60年前はまだ土葬だった。土葬のための穴を掘ることを池掘りと言ったらしい。近所の人たちで池を掘るのだが、大きく掘るのは大変だから、その当時の棺桶は今みたいな長方形ではなく、文字通り桶の形をしていて、遺体を丸くして納めた。 余談だけ…

少女たちよ

うちから車で2分ほど上流に上ったところに毎年たくさん蛍が飛ぶ。それはそれはたくさん飛ぶので、川の両端の杉林はクリスマスツリーのようだ。暗闇に緑色の光がポヤーンポヤーンとそこここで点滅するさまは幻想的で、どこか違う世界に入り込んでしまった心…

酔っ払いとの思い出

うちの夫婦は二人ともお酒を飲まない。「お酒を飲まない人は肚の底で何を考えているか分からないから信用できない」なんて言う村人もいて、そんなことまで思うのかとびっくりしたけど、都会みたいにその場その場のつきあいじゃなくて、それこそ生まれてから…

わたしのチャレンジ

村で暮らし始めたころ、ある集まりに夫婦で参加した。公民館に到着したとき、広間にはすでに40人くらいの人が集まっていて、数名ずつの塊になっておしゃべりをしていた。さてどこに座ろうかなと立ったまま空いたスペースを探していたところ、「そろそろ始…

思えば遠くへ来たもんだ

朝、夫とコーヒーを飲んでいた。稜線のあたりが薄いレモンイエローに染まり始めていた。山村は日が昇るのが遅いのだ。「俺、こんなに幸せでいいのかなあと最近思うんだよ」と夫が言いだした。スズメの声が聞こえる。「空気も水もおいしい良い環境に住めてさ…

針穴ほどの小さな穴でも

地域おこしについて話している最中に、村の人が「世間から後ろ指を指されないように指されないように生きるのが村の生き方なんだよね」と言っていた。うん、まあ、そうですね、と思いつつ、「そうなんですか」と返事をした。幼い頃、身近に田舎出身の人が多…

出かけたいなー

数か月前に都会から村に移住してきた人と話していたら、コロナの話題になった。「コロナに関して村の人のほうがまだ慎重ですね。都会だとコロナはもう普通の風邪に近づいてきたという感じがあって、気をつけるべきところはきちんと気をつけて、あとは通常の…

お地蔵さんみたい

うちの村への移住を決断した大きな理由のひとつは炭焼きがいたからだけど、炭焼きがいる村は他の地域にもある。それはわたしたちも知っていた。こういう場合、他の地域も訪ねてみてから決めたほうが後悔が少ないはずだ。なにしろこれから先の一生を過ごすこ…

マキは万年、カヤ限りなし

たとえば、「マキは万年、カヤ限りなし」(マキもカヤもすごく長持ちするという意味。弥生時代のカヤで作られた棺が発掘されたと本で読んだことがある。それくらい長持ちするらしい。古い家では土台や敷居に使われている)とか、栗の木は腐りにくいから柱に…

夏の終わりに

「こんなふうに虫の声を聞きながら死にたいな」と夕食を食べながら夫が言った。ヒグラシが盛んに鳴いていた。「病院だと、ピーッみたいな機械音を聞きながら死ななきゃいけないんだよ。嫌じゃん」ドラマなんかで見る「ご臨終です」と医者が家族に伝える場面…

僕らはみんな生きている

「虫が嫌いだから田舎暮らしはできない」という人がいる。わたしも虫は好きではない。なにが嫌かって、まずコミュニケーションが取れないところ。こうしてパソコンに向かっていると突然、腕にガシャガシャした感触がある。ナナフシ!なんでわたしの腕にしが…

目をかける

まるっきりの初心者がどうやって炭焼きを覚えたかというと、ひとつはベテランさんの仕事のお手伝いと称して炭窯に寄せてもらって覚える。見学させてくださいとお願いすることもある。そのほかに、炭焼きに限らず、いろんな人が炭窯に立ち寄って教えてくれる…

狸のおっちゃん

朝早く、まだ車通りも少ない時分、通りを歩いていると向こうから狸が歩いてきた。それがちょうど夜勤明けでいっぱいひっかけたおっちゃんが歩いてくるみたいな感じだったのだ。心地よい疲れを感じながら、鼻歌でも歌っているような様子で、あっち見こっち見…

キツネの王様

朝、家の前の通りに出たら、やけにカラスがうるさい。5~6羽がかたまって喧嘩腰に騒いでいる。いつものようにトンビとやりあってるのかな、今朝は早くから始めたもんだなと思ったら、そうではなかった。キツネだった。山中の集落へ入る道の上り口にキツネ…

アクセルとブレーキ

村の炭焼きの主な出荷先は地元の炭問屋である。炭問屋はいくつかあるが、一番多くの炭焼きが出荷しているのは農協だ。移住したときとてもお世話になった炭焼きのベテランさんに「農協にしなさい」と勧められたので、わたしたちも最初は農協に出荷することに…