satoyamahanako’s blog

里山で炭を焼いて暮らしています。

2022-09-01から1ヶ月間の記事一覧

狭い世界と広い世界

山に囲まれた村で暮らし、月に数回のホームセンターでの買い出し以外にはほとんど村から出ることはない。近所の高齢者と半径2~3メートルの話題(噂話とも言う)について言葉を交わすこともあるけれど、基本的には夫以外の人とはあんまり話さない。日々黙…

炭切マニア

わたしの主な仕事は炭切~出荷作業である。炭切というのは窯出しした炭を規格に合わせて切っていく作業のことだ。わたしはナタで切る。丸ノコで切ると作業が早いし、切っている最中に折れたり割れたりが少ないので、上物が増えて実入りが良い。(でもお客さ…

高齢者一人暮らし

うちの猫がご近所のお宅にご迷惑をおかけしたことがあって、謝罪に行った。Aさんは堪忍袋の緒が切れたという口ぶり、Bさんはご近所なんだしお互い様、わたしももっと年取ったらお世話になることがあるんだからと明るかった。この物言いの温度差は2人の境遇…

地域の宝~感じ方の違い

うちの村は水源の村で、水源は保安林で守られている。そもそも村内の山のたしか9割以上が保安林なのだ。また炭焼きやシイタケ生産者がいるおかげで、20~30年に一度雑木林を伐採するという里山の営みが(かろうじて)残っている。20年近く前に国連が…

移住なんてしたくなかった その4

むかーし昔、わたしが幼いころ、近所には田舎から出てきた人が大勢住んでいた。そのうちの一人、あるお姉さんが話してくれたことだが、「わたしは何があっても絶対田舎には帰らない。好きな服を着ているだけで、変な目で見られたり怒られたりする。わたしは…

移住なんてしたくなかった その3

そんなこんなで、移住して15年くらいになる。炭焼きは私たちにはぴったりの仕事だった。直感は当たるのである。村の生活に慣れ、村の生活いいかも好きかもと思えるまで10年はかかったが、その10年の間でも炭焼きになったことを悔やんだことは一度もな…

移住なんてしたくなかった その2

農家・・・どうも違うような気がする・・・と感じていたところに、炭を焼いて生計を立てている人がいるらしいと聞きつけた。炭焼きぃ?自家用じゃなくて商売用で焼いている人がいるんだ?へえ・・・炭のことなんて全く何も知らないし、使ったこともほとんど…

移住なんてしたくなかった その1

うちは夫婦2人とも化学物質過敏症で、どうにもこうにも都会暮らしがままならなくなった。約20年前のことだ。仕事を辞めなきゃいけなくなるくらい体調が悪くなってしまったのだ。 2人とも生まれも育ちも都会、県をまたいだ引っ越しも何度かしたけれど全て…

移住促進イベントとは

移住促進イベントの件でMさんと話す。昨日のMさんとは別人である。Mさんはずいぶん昔から故郷の人口減少に胸を痛め、なにか良い手立てはないか考え続けてきたそうだ。移住促進に直結するようなイベントはないかと模索していると言うので、人口減少はここ数年…

高齢者ばかりの山村

仕事をしていたらMさんが通りを歩いているのを見かけたので挨拶の声をかけた。 Mさんはおそらく80歳を過ぎていて一人暮らし、耳が遠く、足元もおぼつかない。 手押しカートの取手を両手でしっかりつかみ、ペッタンペッタン、ペンギンみたいに歩く。ペンギ…