satoyamahanako’s blog

里山で炭を焼いて暮らしています。

酔っ払いとの思い出

うちの夫婦は二人ともお酒を飲まない。
「お酒を飲まない人は肚の底で何を考えているか分からないから信用できない」なんて言う村人もいて、そんなことまで思うのかとびっくりしたけど、都会みたいにその場その場のつきあいじゃなくて、それこそ生まれてから死ぬまで、祖先から子孫までお互いつきあうわけだから、肚の底をひっくり返してでも見たくなるのかもしれないですね。
知らぬが仏とは考えないのかな?

さて、移住してしばらく、夜の訪問者に悩まされた。
一人は21時頃、酔っぱらって来て、自分の車の自慢や家族や仕事の話をひとしきりする人。
最初は見知らぬ人がいきなり家に入ってきて、しゃべり続けるので、ものすごく戸惑った。
それに21時といえば、そろそろ寝支度にかかるかという時間帯、こちらの本心としては早く帰ってほしい。だから失礼とは知りつつ席も勧めず立ち話ですませていた。
何回も来るので困って、他の人に相談してみたら、
「その人は酒を飲む場所が欲しくていろんな家を訪ね歩くのだが、地元の人からはもう嫌がられていて家に入れてもらえない。あんたたちは来たばっかりで飲ませてくれるかもしれないと期待して行っているんだ。帰れって言って追い払っていい」
「追い払うんですか?そんなことしていいんですか?」
「いい、いい。席がないって言って追い払いなさい」
さすがに席がないとは言えず、「わたしたちもう寝るところなんですよ」などとマイルドに話して、早めに帰ってもらうようにしていたら、そのうち来なくなった。

もう一組、こちらは2人組だったが、彼らも多分、新しい酒飲み仲間が欲しかったのだろう。一升瓶持参で来ていた。「奥さん、奥さんにはご迷惑をおかけしませんから。酒もつまみも持って来ました」と言って。
そして午前2時過ぎまで飲み続ける。
「わたしたちはいつも21時過ぎには寝てしまうんですよ」とか「明日の朝早いので」とか言っても、酔っぱらって楽しくなってしまっている人たちの耳には入らない。わたしたちはフラフラだった。
この人たちはどうして来なくなったのかなあ?
わたしたちが飲まないことに何か月か経ってようやく気づいたのかもしれない。ふたりとも素面ではシャイで優しい人たちだった。

当時はとても大変だったけど、今思い出してみて嫌な気持ちはしない。
そういえば、21時頃家の外で人の声がするので、また誰か酒飲みたくて来たのかもしれないと慌てて電気を消して、もう寝ましたアピールをしてみたら、それはうちに用事があってきた人だった。
次の日からしばらく、その人に会うたびに、「俺が行ったら、電気消しただろう」と言われてしまうことになった。
だってまた酔っ払いが来たのかと思ったんだもん。